第三回 選句結果 令和三年十月
(赤字は特選)
柿の色がひとつ青い空 荻島 架人
木守柿でしょうか?晩秋の風景ですね。(秋山)
絵になる美しさがこちらでも再現されます!(権代)
柿の木の上に広がる青い空が浮かびます(徳富)
なつかしいふるさとの情景を思い出しました(佐川)
柿のオレンジ一つ、秋も終わり頃の青空の広さ、冷たい空気の中どちらも見ていたくなるような句だと思いました(葉子)
陽の当たる植え込みの影病の待合 田中 美太
待合室からみる植え込みはきれいに刈られていますが冷たく感じます。名前を呼ばれるまでの不安で乾いた時間がうまく表現されていて、共感しました。(佐川)
ゆっくりと時間が流れる中、一言で言い表せない気持ちがそこで漂っているようで、印象的でした。(葉子)
母の背中が遠くかげろう 佐川 智英実
もう母は亡くなりましたが、なんだか気持ちが惹き付けられました(徳富)
刈って刈って喉が乾いて炭酸 権代 祥一
草刈りだと思います、達成感を感じ、喉を潤す炭酸を飲んでいるんですね。(田中)
犬に隠れて銅鑼焼きを食ふ 秋山 白兎
これ、笑えました!!で、なんか気持ちも伝わってくるから更に面白い!!おそらく犬は見えなくても匂いで勘づいているから、頭隠して尻隠さずみたいな滑稽さがあります。天にするかどうか迷いました。(権代)
堂々と味わえなくて残念なような、逆にそこが癖になるような。。。常習化しそうですね(笑)相手が犬、というところがまたいいですね!(葉子)
他人のため生きた夫なれど余命宣告 徳富 ふみ
(荻島)
波消えた田にすずめ降る秋 葉子
(荻島)
気分は朝から低気圧 頭痛、腹痛、強風雨 権代 祥一
こんな状況ですが、全部投げ出して踊りたくなるようなリズムが。。頭の中でリピートしそうです。(葉子)
親不孝の夜爪を剪る 秋山 白兎
もう両親は他界しているので、開き直って私も昼夜を問わず揃っています。この開き直りの後ろ側に悔恨懺悔があるように感じました。(権代)
僕の頭に学びの風の吹かしたい 田中 美太
学びの風という言葉がいいですね。私の頭にも吹いてほしいな。(佐川)
ふたり薄笑い朝のコーヒー 荻島 架人
初めての夜の情熱の営みから冷めた二人が昨夜を思い出して薄笑いをするという感じ?・・・を勝手に妄想しちゃいました!(笑)(権代)
蜘蛛もしかめっ面よ城破られて 葉子
蜘蛛の顔が解るようです、城をやられた彼らは直ぐ城を構築するはずです。私は以前、夜勤時に会社の灯の蜘蛛の巣を掃除して回ったことがあります。蜘蛛の城はまた出来る筈です、ご、注意あれ。(田中)
我が家の庭もあちこちに蜘蛛の立派な巣が張られてて洗濯物干しに行く度破ってしまい申し訳ないのでくぐって出来るだけ破らないように気をつけています。(徳富)
しのぶ玉の風鈴は祖霊が鳴らす 秋山 白兎
しのぶ玉がわからずに調べてあー、と納得しました。田舎の親戚の家で、一体これはなんだろうと見上げていたものでした。(佐川) (荻島)
六日目の数独埋めきった母の電話 葉子
お母様の気力と、やったよ!の連絡、すごいと思います、六日間です、私ならギブアップよ。(田中)
他人にとってどうでもいいような嬉しかったことを自分も子どもにLINEですぐに報告しちゃいますのでこの気持はよくわかります!!(権代)
こけしそれぞれの顔でお出迎え 佐川 智英実
(荻島)
38年待ちし亡義父の元に義母 行く 徳富 ふみ
38年という年月、お義母さまを支えるのは並大抵ではなかったと思いますが、その後の天国の二人に思いを馳せる優しさにため息がこぼれます。(佐川)
スズメ鳴く雨のむこう 佐川 智英実
短律ですが情景が書けていると思います。(秋山)
雨宿りしている雀が軒下で会話を楽しんでる絵が想像できました。(権代)
忘れられて孤独より寂しい 権代 祥一
こちらは知らない人ではないのだが相手は忘れている。これは寂しいですね。(秋山)
私にはプライドが邪魔をしてとても出来ない句です。作者の素直さが羨ましい。(佐川)
人の記憶からなくなるほど寂しい事はない思いが伝わってくる(荻島)
咲くより蕾の快感 荻島 架人
明日を想像するワクワク感は咲いてしまった喜びに勝ると私も思います!!(権代)
蕾にしかない魅力が「快感」の二字に凝縮されているところ、すっきりと言い切っている感じも素敵だと思いました。(葉子)
立ち止まるためほどけた靴紐 佐川 智英実
何をするにもほどけていないかもう一回見直し、そのつど確認していく前向きな句だと思います(荻島)
女の愚痴が酒臭い 秋山 白兎
愚痴る前に、自分を正しなさい!!ってそこにいたら説教して喧嘩になるかも。・・・いなくてよかった。笑(権代)
洗っても洗っても残る穢れを諦める 権代 祥一
穢れが単なる汚れではなくて何か心に引っかかる穢れなんだと受け止めました。(秋山)
果たして残っているのは穢れでしょうか?洗っても落ちないものは誇りだと思うようにしています。(田中)
どうしようもない欠点を、少し離れて見られるような、肩の力を抜かせてくれる句だと思いました。(葉子)
今日はパイナップル缶を開ける日にする 権代 祥一
いくつになってもフルーツ缶を開ける瞬間はうれしいものです。黄色い丸い輪っかは自分への丸ですね。(佐川)
(市広報掲載)
7月に逝去されましたズッコケ三人組の作者、那須正幹先生は自由律俳句も作られていました。
先生は、「100句つくれば読める句が1句はあるから、それでいいんだよ」と
おっしゃっていました。
句会の参加はプレッシャーになっる方もいらしゃいますが、こちらの句会のモットーは「句が出来て幸せます」です。肩の力を抜いて、また作句していきましょう!
第15回防府市民自由律俳句大会(183人応募)で当会員2名が受賞されました。おめでとうございます。
喜びを話しても独り言 窓を開ける 権代 祥一
壁の余白によりかかる午後 佐川 智英
自由律俳句協会のホームページの結社一覧に、当句会を掲載していただきました。
次回締め切りは12月10日です。