第五回 選句結果 令和四年二月
煮麺に平手打ちされた声を聞く 葉 子
いきおいよくすすった麺が顔にぶつかって熱いやら汁がつくやら、てんやわんやですね。平手打ちという表現が愉快で手打ち麺も連想されて、気になる句です。(佐川)
虫歯のうろに福豆はさまる 秋山 白兎
痛い虫歯に福豆がはさまる。痛さを福に変える気持ちの持ち方を感じさせる(荻島)
なんともぴったりとはまってしまったのですね。かわいい福豆の仕業とはいえ、その痛み、お察しします。(葉子)
七十二候の今日はいつ 権代 祥一
七十二ともなると気付く間もなく過ぎていきそうですね。細かい季節の歩みに興味が湧きました。(葉子)
誰もいない這って水を飲む 荻島 架人
場景は正確に解りませんが・・・工事現場や登山の時には山の中の沢水などは首を伸ばして直接呑みました(秋山)
歩くのも辛い状況がうかがえます。その中での一歩一歩が記憶に濃く刻まれそうです。(葉子)
(徳富)
箱根の剣を上りて降りて掴む栄冠 田中 美太
歩くのも辛い状況がうかがえます。その中での一歩一歩が記憶に濃く刻まれそうです。(葉子)
荒れ庭に蝋梅の花ひっそりと咲く 徳富 ふみ
手入れが苦手なのでトホホな我家の庭ですが、律儀に咲いている花に心癒やされたり感心したりしています。(佐川)
一本の静かな存在を感じられる句だと思いました。(葉子)
おどろきやすく戻る巻き尺 佐川 智英実
これわかります!!スチール製のキンキン声が聞こえてきそうな騒がしいヤツですよね。(権代)
確かにスチール製の巻尺が戻るスピードと音には、びっくりするときがあります。何を図っていたのでしょう?(田中)
ビクッとして勢いよく引っ込んでしまう様子に、何となく親近感がわきました。(葉子)
孫の笑顔に貫禄も見る 田中 美太
子供の成長も嬉しいが、孫はもっと嬉しく貫禄で、見守る優しさがあふれる(荻島)
3つ子の魂百まで、楽しみですね。幸せのお裾分けをもらいました。(佐川)
淋しさひっくり返して砂時計 葉 子
なるほど・・・って思える面白い表現だと思いました。往復のさびしさは2倍になるような切なさも感じました。(権代)
砂時計は繰り返し時を待つ繰り返し淋しさを流して忘れるそんな場面を想像する(荻島)
砂時計を使い淋しさを何とか消し去りたいのですね、砂時計を使ったのがより淋しそうです。(田中)
(徳富)
湯気立つ飯へ大寒のたまご溶く 秋山 白兎
鮮やかな黄身の色がいっそう際立って、目にしみるようです(葉子)
あかり窓の月はもうすぐ満月 荻島 架人
満月が近い月がゆっくりと動いていく、静かで少し楽しみな様子が感じられます。(葉子)
ほんとの気持ちは逆さまこうもり 佐川 智英実
逆さに止まってるこうもりで自分のアンビバレントな気持ちを表現してるんですかね・・・?しかも黒い姿だから余計に黒い気持ちが表現される感じ・・・。怖いけどいいと思いました。(権代)
正直に言えない事は沢山ある逆さのこうもりと例えたのは発想が旨い(荻島)
寒すずめ待つ金網にからっ風 葉 子
何を待っているのか、金網でより寒さが強調される(荻島)
臍もそびらも焚火にあぶる 秋山 白兎
焚き火の前であっち向きこっち向き、冬が来たなと感じますね。(葉子)
通い猫が来なくなり心に穴が空く 徳富 ふみ
私も同じ経験があります。元気でいてくれることを祈ります。(葉子)
陽さす斜めに正月葬儀涙の場 田中 美太
どうか、悲しみが少しでも癒えていきますように。また新しい句を詠まれていってくださいね。(葉子)
達成感の山頂で一人乾杯 権代 祥一
目標とする事を成し遂げる嬉しさを感じ一人で乾杯は自分へのご褒美では(荻島)
とても気持ちのよい句で、素直さに好感をもちました(佐川)
閉めた扉が靴音を奪っていく 荻島 架人
靴音さえも去っていく惜しみをドアが閉まってかき消す。けど、締まらないで!っていう作者の叫びが聞こえてきそう。(権代)
閉めた扉は、家と外の境の扉だと思います。そこを閉めても最初のうちは靴音がします、そしてその音がだんだん聞こえなくなっています、それもたくさんの人の靴音でなく一人の靴音でだんだん聞こえなくなっていきます。去って行く人の靴音の小さくなるのを扉のせいにして、辛さ寂しさを耐えています。(田中)
節分の夜は肥った赤鬼となる 秋山 白兎
家族の仲の良さや、風習を大切に続けている作者の真面目さが感じられます。(佐川)
菜の花の色をひとり分ください 荻島 架人
最近、生協から食材を配達してもらっていますが花菜をお浸しにしています。(秋山)
「色を一人分」・・・この詩的な表現に一本!と背負投げが決まったような感じがしました!!(権代)
一面の黄色、分けてもらいたくなりますね。(葉子)
菜の花の遠慮がちに咲く様子が浮かんできました。たいへんに詩的で美しい句ですね。(佐川)
赤い実ふたつ雪だるまのさようなら 佐川 智英実
赤い実は雪だるまの目でしょうか、見送る視線を感じます。(葉子)
積もらない雪が夕陽に舞う 権代 祥一
静岡でも山間部では積雪がありましたが、私が住んでいる桜町では風花が舞っただけでした。(秋山)
「積もらない雪」にひかれました。淋しいですが、見ていたくなる情景ですね。(葉子)
つましい暮らしの干し菜を刻む 秋山 白兎
無駄のない暮らしの中にある、心地よい緊張感のようなものを感じます。とても魅力的です。(葉子) (徳富)
切れのいい包丁で盛る小さな夕餉 荻島 架人
きっと新鮮な魚のお刺身だったりするんだろうなぁ・・・と想像するだけで生唾が出てきます。お腹がすきました!(権代)
5年ぶりに孫が来て喜び爆発死の近い夫 徳富 ふみ
(葉子)
浜千鳥の交差点で立ち止まる 葉 子
浜千鳥は、浜辺につけた足跡の意味でしょうか、浜辺に書いた交差点で、波が消してくれるまで立ち止まっているのでしょうか?(田中)
葉子さんの「つぼみ数えた指先に明日の匂い」が、みごとふるさと館の俳句大会で入選されました。
おめでとうございます。
当句会のモットーは、「句が出来て幸せます」です。また楽しく作句していきましょう。