第八回 選句結果 令和五年一月
赤字は特選として選句
冬をキャンセルしたいのですが 田中 直心
本当にそう思います!!今年は超寒い!!!!(権代)
みーんなの心の叫びですね。(佐川)
要望を聞いてもらえなくとも、ひとこと言いたい寒さでしたね(葉子)
結露まとってグラスも夏服 葉 子
グラスに露のかたまりが凝り固まり、夏の服になっています。冷たい冬の感じと夏の服が混ざり、冬と夏のバランスが詠まれていて、凄いと思いました。(田中)
最悪の1年が暮れ南天活ける 徳富 ふみ
今年こそは良い年になって欲しいという静かな希望が感じられました。(権代)
昨年はコロナ禍で最悪の一年でしたね(秋山)
南天の凝縮された赤が心にしみます。活ける動作に、作者の強さを感じました。(葉子)
「ちゃん」付けが少なくなって落葉舞う 権代 祥一
「〜ちゃん」と呼び合える関係、あまりたくさんではないですが、大事にしたいと思いました(葉子)
子供の頃はちゃんをつけて呼ばれるのが嬉しかったですが、そんな心情さえも言ってはいけない時代になるのでしょうか。私の心にも落ち葉が舞っています(佐川)
酒を断ち紅茶青汁黒酢たしなむ 秋山 白兎
飲み物にこんなにストレートに色の名前がついてたのですね。当たり前に使っていたのですが、目から鱗です。(佐川)
セキレイの十歩駆けて尾で呼んで 葉 子
セキレイは、石たたきどり、庭たたきどり、と理解していました、尾呼びどりともいえそうですネ。かわいいですね。(田中)
後何年生きれるか5年日誌買う 徳富 ふみ
無駄になるかもしれない・・・と思いながらも希望を込めて5年日誌を買った作者の葛藤が伝わりました。(権代)
5年誌や3年誌がある日誌に、後何年生きれるなどの意味が含まれているのを初めて知りました。本屋さんで見たことはありますが、日記は一年ものだと思っていました。後何年など生きるなど考えてもあまり意味がないのではと思っています。(田中)
5年なんてあっという間です。暗い世の中ですが、日常のささやかなキラキラを探して書いてほしいと思います。(佐川)
風が吹いてる静寂(しじま)の山頂に立つ 権代 祥一
静寂(しじま)は、もの音一つせず静まりかえっていることだと理解しています。風が吹いてその音は?と、思いました、しかし山頂は平地と比べれば静寂(しじま)なのですね。(田中)
山頂の澄んだ空気を深呼吸したように、清々しい気持ちになりました。(佐川)
パキパキと息も忘れて栗むき妖怪 葉 子
私も栗好きな家族のために、これでもかと皮をむいていましたが、家族は恐怖に震えていたのかしら、、。栗むき妖怪2号です。(佐川)
山頭火と呑む硬い人だ 田中 直心
不器用で硬いイメージのさんと山頭火さんと呑んでみたいですね。(権代)
松の内に一滴の酒も飲まず 秋山 白兎
今年の誓いは禁酒でしょうか?松の内(7日間〜半月)飲まなかったのですからそのまま断酒をお勧めします。余計なお世話ですね。(田中)
「一滴も」の一言に、緩まない決断力を感じます。(葉子)
どっちつかずに揺れるパーカーの紐 佐川 智英実
決断を迫られる場面で全く関係のない揺れているパーカーの紐が気になっている作者の心情が表現されていていいなぁと思いました。(権代)
揺れる紐は心の迷いでしょうか?迷った時はそのままにしておくのも一つの手ですヨ。どっちつかずに。(田中)
もどかしいような、むしろバランスを保っているような、、見ている側の気持ちも揺れますね(笑)(葉子)
辛くても生きるしかなし寿命あれば 徳富 ふみ
辛さを乗り越えて生きようとすれば、寿命を伸ばそうと思うときが来ると思います。
お互い頑張りましょう。(田中)
片方ずつの似たもの靴下 葉 子
よく分かります。脱いだ時は両方あったはずなのに、どういうわけでしょう。(佐川)
壁一枚いびきがはじまる一日の終わり 佐川 智英実
襖の向こうから家内の寝息が聴こえて一日が終わります。(秋山)
売れ残ったパンの耳 2割引 権代 祥一
いつも半額シールに反応する私ですが、パンの耳2割引きもついカゴに入れたくなる魅力がありますね。(佐川)
ジャージャーの耳鳴りと共に年を越す 徳富 ふみ
この次の年越しはジャージャー無しで健康な年をお迎えください。私も健康に気を付けて、頑張ろうと思っています。(田中)
水族館の底に一人 冬の陽光 葉 子
深海を思わせる感じ・・・を水族館で体験できるという印象を持ちました(権代)。
孤独の中に差し込むやさしい光に心が軽くなりました。とても秀逸な句だと思います。(佐川)
だって疲れた友からの声 田中 直心
本音を話せる友達との語らいがあるから、明日もまた生きていけるのでしょうね(佐川)
(葉子)
情熱が青春を燃やして還暦 権代 祥一
まだまだ先へ進めそうな、燃え尽きないものを感じました。とても素敵だと思います。(葉子)
うれしいお知らせです。会員の田中 直心さんがなんと山頭火生誕一四〇年の俳句大会で最優秀賞を受賞しました。田中さんは群妙の富永鳩山先生から毎日、日記代わりに一句を作るアドバイスを素直に実行されていました。そのひたむきさに俳句の神様が動かれたのだと思います。田中さん、おめでとうございます。
昼の冷麦空の色 田中 直心